はじめに:相談現場から見える「働きたくても働けない現実」
「ひとり親でも働ける仕事を探したい」 そう言って相談に来られる方の多くが、すでにギリギリの生活をしています。
最近特に多いのが、不登校の子どもを抱えるひとり親のご相談です。 両親がそろっていれば、どちらかが対応することもできますが、ひとり親の場合はそうはいきません。 兄弟が多い家族等は今日食べるものにも困るのに働くところがないという事実…
そんな中で「今すぐ働かなければ」と焦っても、実際に選べる仕事は限られています。
中には、障害のあるお子さんを育てている方、自分自身も生きづらさを感じている方もいらっしゃいます。 子どもの特性と向き合うだけでも日々が精一杯で、「外に出て働く自信が持てない」「自分が何をできるのかも分からない」と不安を抱える方も少なくありません。
今回は、私が日々の就労支援で見聞きしている「ひとり親が本当に求めている働き方」について、具体的なメリット・デメリット、そしておすすめ職種も含めてご紹介します。
1. 在宅ワーク
✅ なぜ人気?
「子どもが家にいても目が届く」「通勤がない」「柔軟な時間で働ける」などの理由から、もっとも希望が多い働き方です。
10人相談を受けて半分の5人くらいは、在宅の仕事をしたいですという相談です。
✅ メリット
- 子どもを一人にしなくて済む
- 通勤が不要
- 作業時間を自分で調整できる
❌ デメリット
- スキルが必要な仕事が多い
- 収入が安定しづらい
- 詐欺的な求人もある
- 孤独感や自己管理の難しさ
💡 おすすめ職種
- データ入力
- Webライター(未経験OKの案件も)
- ネットショップ運営補助
- 在宅コールセンター(受電業務)
- アンケートモニター(副業向け)
- オンライン秘書
パソコンを使った仕事が多いです。ネット環境やパソコンをどのくらい使えるか等ハードルが色々ありますね。
📝 ひとことアドバイス
「最初は副業感覚で小さな案件から。“慣れる”ことが第一歩です」
2. 時短勤務(〜15時退勤)
✅ なぜ必要?
「学童に預けられない」「夕方は子どもとの時間を大切にしたい」という声が多く、次に人気の働き方です。
✅ メリット
- 子どもの下校時間に間に合う
- 家事や送迎との両立がしやすい
- ワークライフバランスがとりやすい
❌ デメリット
- フルタイムより収入が低い
- 求人数が少ない
💡 おすすめ業種
- 給食調理(9〜14時)
- 保育補助
- 清掃業(早朝〜昼過ぎ)
- 介護施設のパート勤務
📝 ひとことアドバイス
「“今しかできない働き方”と割り切ると気がラクになります」
3. 9時半〜10時出勤
✅ なぜ必要?
不登校や登校しぶりのあるお子さんがいる家庭では、朝の送り出しが欠かせないという事情があります。
✅ メリット
- 子どもの登校を見届けられる
- 朝の準備に余裕が持てる
- 通勤ラッシュも避けられる
❌ デメリット
- 出勤時間を調整できる求人は少ない
- 時間制約が多いと仕事の幅が狭まる
💡 おすすめ業種
- スーパーやドラッグストアの品出し
- 小規模オフィスの事務パート
- 昼食など対応の飲食店やカフェ
📝 ひとことアドバイス
「“始業時間相談可”という記載がある求人を探すのがポイント」
4. 急な休みに対応できる職場
✅ なぜ必要?
子どもの体調は予測できず、特に頼る親などがいない、ひとり親家庭では“休めるかどうか”が最大のポイントになります。
✅ メリット
- 子どもが急病でも対応できる
- 同じ立場のスタッフが多い職場は心強い
❌ デメリット
- 人手不足の職場だとプレッシャーが大きい
- 替えがきかない職種では負担が大きい
💡 おすすめ業種
- シフト制の飲食店(主婦多数)
- コンビニ(スタッフ数が多い店舗)
- 訪問介護(空き時間の融通が利く)
📝 ひとことアドバイス
「“主婦が多い職場”は理解が得られやすく、休みにも柔軟です」
5. 番外編:求人票のチェックポイント
- 出勤・退勤時間の柔軟さ(「相談可」の有無)
- シフトの融通が利くか
- 同じ立場の人が働いているか(見学や面接で確認)
- 有給取得率や急な休みの実例を聞いてみる
まとめ:ひとり親に必要なのは、条件より“理解”
「働きたい」と願っているのに、働けない——。 それは、能力や意欲の問題ではなく、周囲の理解や制度の柔軟さが足りないことも原因ですよね。
条件をすべて満たす仕事はなかなか見つからないかもしれません。 でも、まずは「何を一番大事にしたいか」を自分で整理すること。
そして、焦らずに少しずつでも前に進んでいけば、道は開けていきます。 あなたが安心して働ける場所は、必ずあります。
どうか、自分を責めないで。 「今できること」を一緒に探していきましょう。
▼相談・支援を受けられるところ
- ハローワーク(マザーズコーナー)
- 自治体のひとり親支援窓口
- 母子家庭等就業・自立支援センター
- NPO法人などの無料職業相談
必要なときは、頼れるところに頼ってくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。